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ピアノ

「痛みや疲れがあるピアニストは 致命的」

痛みや疲れがあるピアニストは致命的

この言葉は、2002年ニューヨークで開催された、「The Taubman Institute Williams 2002」で、一番初めに言われ言葉のひとつです。衝撃的な言葉で始まりました^_^:

それには、弾けたら言い訳じゃない、痛みや疲れがある時は良い音や音楽は決して生まれてない。という意味も含まれれています。

この2週間のセミナーとマスタークラスは、”painless痛みのない奏法とアプローチ”を習得できると、あるピアニストから勧められて、遥々日本から参加しました。(別に、僕は痛みや腱鞘炎だった訳ではありません)日本人参加者は2名でした。このセミナーには、有名なピアニスト(名前は出せませんがかなり世界的に有名)とか、演奏活動をバリバリしたり、CDも出しているピアニストが世界中から沢山参加されてました。

そんなピアニストが何故参加してるの?と思いました。良く話を聞くと、

あるピアニストは、

“僕はスケールだけを習いにきた。このままでは、僕はいつかピアノをひけなくなると感じてる。曲はレッスンうけない。ただ、ターブマンのスケールだけを”

そんなピアニストが沢山でした。誰にも言えない、「悩み」はみんなあるみたいでした。

セミナーは、一日2回のレッスンとレクチャー、夜はターブマンアプローチを使っているピアニストのコンサートがありました。レッスンは、メインのターブマンティーチャーのレッスンの後、そのレッスンを見ていたサブティーチャーがさらに丁寧にレッスンという充実したものでした。

レッスンが終わると、受講生全員が集まり、毎日違うテーマのレクチャーが行われ、理論もみっちり学びました。全て英語でのレクチャーの為、英語理解度は、、65%^_^:くらいでしたが、周りの参加者に聞いて理解できました。下の画像が、テキスト内のレクチャーのコンテンツですが、レッスンで言われた内容を、理論的に理解できました。

ターブマンアプローチ コンテンツ

夜のコンサートは、クラシックピアニスト、ジャズピアニスト混在で、楽に超絶技巧を弾いてる実演とでもいいましょうか、すげー!というしかないコンサートでした。まー個人的には、音楽的には好きタイプではなかったですが、ターブマンは、そこにフォーカスをあててないんだな^_^;と割り切って聴いてました。やはり、ヨーロッパ、ロシアの音楽には敵いません。

夜のコンサートプログラム

セミナー日程の後半には、希望者数名の、ターブマン史によるマスタークラスがありました。僕は、希望しました。

真上、横、後ろからのカメラで、受講生全員に見える様に巨大スクリーンに映しだされながら、マスタークラスが進みました。

マスタークラスが終わり、ロシア人のターブマンティーチャーが、僕のところにやってきて言いました。

「君の音楽いいよ。その弾き方はどこで習ったの?ロシア? いまの君のままで、少しターブマンの要素を入れるだけで充分だよ、私もそうしてますから( ” Your music is good. Where did you learn how to play it? Russia? It’s enough to add a little Taubman element as you are now, because I do that too. “)」

と話してくれました。全てターブマンアプローチにしないでいい、という事でした。ロシア人ピアニストに、ロシアで習った?と聞かれましたがロシアのメルジャーノフ氏のお弟子さん(尊敬する原田英代先生です)に習ってます、としかいえないくらい、その頃は自分でもまだロシアの奏法?をあまり意識してなかったのです。

彼の話を聞いて、今の自分の弾き方に付け加える物と、ナチュラルになるために差し引いていく物を見分けるといいんだなと思い、楽にな気持ちになったのを思いだしました。

実は、ニューヨークに行く前に、”アレキサンダーテクニック”を少し学んでましたが、ある理由で辞めました。(ここでは、理由については触れません)。ターブマンアプローチは、アレキサンダーテクニックの要素がピアニストに特化した形で含まれてるのは感じました。

ターブマンアプローチですが、「ローテーション」をマスターし、ターブマンアプローチを使った「スケール」を弾けるようになることが大切になりますが、その前に時間をかけたのは、

“自分の身体を知る,自分の癖を知る”

“ナチュラルな身体にリセットする”

でした。癖 (良くない癖) は、自分ではなかなわかりませんし、それが癖と認識してない場合がほとんどです。その癖が、色々な悪い現象を引き起こしているのも気づいてないと思います。

ターブマンアプローチなレッスンは、曲全体を仕上げると言うものではなく

•難しいパッセージが弾けない
•ゆっくりなら弾けるが、速く弾けない
•途中で疲れる、痛くなる
•部分的には弾けるが、通すと弾けない

という様な、箇所を抜粋して、原因を言われ、このアプローチ(レクチャーのコンテンツにあるアプローチ)をこう使う、というレッスンです。練習の方向性を明確にしてくれます。

僕は、バッハ-ブゾーニ シャコンヌ/ストラビンスキー ペトルーシュカより3つの断章/ショパン マズルカより数曲の中の、弾けないパッセージを取り出して、ターブマンアプローチを学びました。結果、持っていった楽譜は、セミナー終了時にはすべて問題クリアしていました。というか、もっと楽譜持っていけば良かったと後悔したくらいです。

セミナー最後に、このアプローチは「Invisible 見えない」ものが沢山あるので、大きな動きのまま実践すると大変な事になります。実際、ちょっとビデオや一回レッスン受けただけでやってみた、と言う事例を挙げて、それがいかに危険な事かを説明してくれました。

無駄な努力と訓練と忍耐で、無駄な時間使ってませんか?精神論で解決することは決してありません。
ターブマンアプローチはその原因を明確にし、解決してくれます。合理的!と言わざるを得ないアプローチです。

自分自身もかなり変化し、楽に弾いていた自分に、更に楽な世界があるんだと実感させてくれたアプローチです。

身体、指を使う楽器全てに当てはまるアプローチです。

クラシック、ジャス、ポップスは関係ありません。

興味のある方、是非体験してみてはどうですか?