一般的にピアニストというと、速い指、大きな音、難しい曲を軽々と弾きこなし、長い曲を暗譜し、それなりの表現ができるというイメージがあるとおもいます。
でも、僕にとってそういった技術は、ピアニストとしての条件のほんの一部。んー10%未満、、
ただ「感心する音楽」ではなく、「感動する音楽」でありたい。
正直、時間をかけて練習すればアマチュアさんでもできることです。
僕が本当に大切にしたいのは、美しい音。
そして、その音が自然に、身体に負担なく生まれること。
つまり、音に魂が宿っているかどうか。
ピアニストには、見えないものを信じる力、聞こえないものを聞く力がとても必要だと思います。
音楽は形のないもの。数字や音符だけでは表せない感覚や空気、間合いを感じ取る繊細さが求められます。そして見えないもの 氣 のようなものも。
アンサンブルには、一瞬で自分の役割を理解して相手を立てる思いやりと想像力、
そして自分と違うものを受け入れる力が必要です。
ただ自分の音を出すだけではなく、相手の音に耳を澄まし、支え合いながら一つの音楽を作り上げる。
そうした力を持つピアニストこそ、本当にレベルが高いと思います。
ピアノは一生付き合うもの。
若い頃に「これが正しい」と思っていたことも、年を重ねるごとにどんどん変わり、時には全く違う景色が見えてくる。
それがまた楽しい。ピアノとの長い旅路の醍醐味です。
人としての深さも欠かせません。
どんなに正確に弾けても、心がこもっていなければ、ただの音に過ぎません。
でも、心がある音は、多少のミスを超えて、聴く人の心を動かします。
たまに考えることがあります。
「どうしてこの人はピアノを弾いているんだろう?」
「音楽が本当に好きなのかな?」
そんな疑問が浮かぶ演奏に出会うと、少し寂しくなります。
僕が思うピアニストとは、
ただ技術を見せる人ではなく、音楽を心から愛し、音に魂を宿す人。
その音が、誰かの心に届くことを信じて、誠実に向き合っている人です。
音に魂が宿る――それが、感動を生み、心を動かす音楽になるのだと、僕は信じています。
そして何より、とりあえず楽しくピアノを弾きましょう。