最後まで、迷いに迷って、やはり行かなければ!と、バレンボイム様に会いに大阪へ行ってきました。
大阪は、嫌な?笑える?思い出があります。若い頃、新大阪えきから大阪駅へ移動したとき、迷ってしまい、あるサラリーマンに質問た時の事。
山根「すみません、梅田はどう行けばいいですか?」
サラ「は?ここやねん」
いや、ここは大阪駅やねん!と、多少ムッとして
山根「あ、ありがとうございます」
って、梅田がどこなのが分からないまま、ムカムカして歩いていると、、、梅田、、がみえた。
あー、、、大阪駅イコール梅田?なんか、、。自分なりに納得して、また、迷いながら街を歩いた記憶がある。
大阪は迷う街、のイメージ。

今回は、コロナ禍ということで、新幹線と在来線以外は、歩いた。やはりまた、大阪駅で迷ったが、、、
ホテルからフェスティバルホールまで歩いて15分。意外と早く着き、地下のレストラン街に行くと、食べたかったマリトッツォを見つけた。吸い込まれように、イタリアンレストランに入り、迷わずマリトッツォとコーヒー!を注文。デカイが意外とあっさりなんだ。と、ワクワクする気持ちを抑えながら、コーヒーを啜る自分が好きだったりしました。

さて、お腹もちょい満足して、ホールへ。
50%の客入れと書いてあったが、、ほぼ満席ではないか。まー、僕が迷って間近にチケット買えたんだから普通とは違うな。本来なら超満席で即完売のはずのバレンボイム様のチケット。
席につき、そんな事を思いながら、暫くして!バレンボイム様の登場1分前!
いや、こんな 静寂、体験したことない。物音も息の音も、コンビニの袋の音も、何もかも消音されたかの様な、異常な静けさ。

そして、バレンボイム様がステージへ降臨!
リサイタルが終わったかの様な、割れる様な拍手、しかも長い、、。
今回のプログラムは、ベートーヴェン 後期のソナタ3曲。
30.31.32番が聴ける。と言うか、浴びる。
バレンボイムが今回日本に持ち込んで弾くのは、バレンボイム=マーネ・ピアノという特別仕様のスタインウェイ。今回のエリザベート王妃国際ピアノコンクールでも使われる話題になったやつ。ベルギーのクリス・マーネがDモデルを基本に制作したピアノで、バレンボイムは2015年からこのピアノを使っています。このピアノを見て、その音が聴けるだけでも来た甲斐があるというものだ!

どんな音が鳴るのか。ワクワク。
30番の第一音目。
優しく、美しく、柔らかく、艶やかであり、はっきりした音だ。どこから鳴り響いているのか?天からに違いないと思える様な音。
溶けた。
キラキラが天から降ってくる。
31番。とにかく、こんな美しく、柔らかな音は、マーネ使用だから?いや、彼の音。恐らくどんなピアノでも同じに違いない。
心は熱くても、決して荒ぶらない音楽。
一つ一つ、全ての音に魂を感じる、彼のアンサンブルや指揮をみてわかるように、彼は、天才的なアンサンブル能力があります。それは、ピアノソロを聴いても良く分かる。バランス感覚、音色の変化は素晴らしい。(僕が彼を評価する様な立場じゃない、、🤣)
とにかく、31番は、天国の音楽でした。
そして、最後。32番
この作品。僕には、まだまだ弾けない、、と改めて感じました、、死ぬまでに弾きたい、、
巷で良く聴く、怪獣でも出てきそうな、危機感ある、リスト?ばりの破壊的な演奏とは、対局にある、、というか、全く別次元にある演奏でした。譜面、楽譜が聴こえてこない。
音楽しか聴こえてこない
そして、fff でも常に穏やかで美しい。
光の柱が彼の頭上から、彼の身体を突き抜け、通り抜けているかの様だった
2楽章は、非現実的な空間に連れていかれました。カンタービレ。これが、カンタービレだよ。
トリルの美しさに涙がでた。ピアニシモの美しさに意識が遠くなりそう、、
何時間でもこの音楽を浴びていたいと思いました。
そして、来て良かった。心からそう思いました。
この体験は、さらに僕の人生や音楽を豊かにしてくれるに違いないです。
ありがとう、バレンボイム。
できれば、また会いたい、、