
僕がニューヨークの Taubman Institute Summer Symposium に参加したのは、2002年か2003年の夏。2週間、寮に入りみっちり、レッスンとサブレッスン、講義、コンサートの日々でした。
セミナーの最後、Dorothy Taubman (ドロシー ターブマン/2013年に死去)本人のマスタークラスも合わせて受講しました。現在は、ターブマン女史の愛弟子である、ジュリアード音楽院出身のEdna Golandsky(エドナ ゴランスキー)女史が継ぎ、ゴランスキー インスティチュートとしてセミナーを継続してます。ジュリアードの学生はもちろん、有名ピアニストを含め、世界中から参加者がいますが、日本人は本当に少なかった。あれから、僕の弟子、友達ピアニストも参加し、少しづつターブマンアプローチ(ターブマン奏法と言う人もいますが、変な奏法と間違えられるので、アプローチが正しい)を実践しているピアニストはいる様です。日本では、ピアニスト長富彩さんが、ゴランスキーにターブマンアプローチを学んだと、有名になったようです。ちなみに、僕は2003年から既に実践してましたが^ ^;

さて
“ターブマンアプローチとはどんなものか?”
一言で言うと、「痛みのない身体の使い方でピアノを弾くする方法」とでも言いましょうか。
「楽(らく)に!」「脱力して!」レッスンでは良く聞く言葉ですね。
自分ではやってるつもりでも、何度練習しても弾けるようにならない、腕や手、肩やひじが痛い、長時間練習したら疲れてしまう。そんな生徒さんは恐らく沢山いらっしゃると思います。
それでも、「努力」「忍耐」「練習量」で克服できると信じてる現実、いまだにこの日本には根付いてます。
だから、僕はわざわざ、ニューヨークに渡り「ターブマン アプローチ」という ”PAINLESS”(痛みのない)奏法を学びました。
そこには 腱鞘炎などの病気で困ってる(一流といわれてる)ピアニストやレスナーとその生徒達が駆け込み寺のように集まってきています。
個人的には「ボディーマップ」を使った”アレキサンダーテクニック”をもっと分かりやすく実践的にしたものだと思います。 決して、○○奏法というような不思議な特殊奏法ではありません。(^^;)人が本来持っている自然な奏法に戻すだけです。
レッスンでは、ただがむしゃらに弾かすことはさせません。「弾けない」あるいは「疲れたり痛くなったりする」 原因を即座に見つけ、どこをどう使ってどう弾くかを具体的に指示し、合理的に楽に弾ける方法を「ターブマンアプローチ」の原理に従って、丁寧にアドバイスします。
その過程で、これがほんとの意味の「脱力」なんだ!と少し時間は掛かりますが必ず分かってくると思います。いままで弾けなかったパッセージや曲が弾けるようになった!
長年悩んでたガングリオンが治った!疲れなくなった!など、生徒はとてもよろこんでいました。最近も、ガングリオンや肘の痛みが治った生徒がいます。
このアプローチは、音楽的な事以外にあえて焦点を当ててます。身体のことや、なぜ弾けないのか?どうして痛いのか?疲れるのか?を徹底的に研究し、合理的にピアノを弾くことを重要と考えています。
ヨーロッパやロシアの伝統的な音楽を学ぶことはもちろん必要です。僕自身も、ウィーン、ノルウェーに行き色々な刺激を与えられましたが、ピアニストにとって、ターブマンアプローチは、知ってた方が明らかに有利といえます。
ターブマンアプローチに基づいた正しいピアノ奏法を身につけると、痛みや疲れ無く楽しくピアノを弾ける様になります。初心者の方からレスナーの方々、ピアニストの方々、までどなたにでもおすすめです。